有名レーサーが巻き込まれた日産GT-R「盗難」トラブル(週刊ポスト)
日産GT-R」──日本が世界に誇るこのスポーツカーは、カーマニアの間でも人気が高く、中古でも平均700万円台で取引されている。
この名車をめぐって、2008年と2016年にドリフトの全日本選手権「D1グランプリ」を制覇した有名レーサーがトラブルに巻き込まれた。
彼の名は、斎藤太吾氏(40)。トヨタとマクドナルドがコラボしたネットCMに出演する実力派レーサーだ。この斎藤氏が経営する中古車販売店で販売していたGT-Rが、“盗難車”の疑いをかけられたのである。別の中古車販売店の経営者・A氏が憤慨する。
「5年前(2015年)の夏、私の店の扉が壊され、GT-Rが盗まれたんです。私はすぐに被害届を出しましたが、長い間見つからなかった。ところが2017年の秋、オークションサイトで盗まれたGT-Rと同じホイールやボディ、ブレーキなどをバラバラに出品している業者を発見した。それが斎藤氏の中古車店でした。
斎藤氏の店に行くと、盗まれたGT-Rと同じ車体フレームとエンジンもありました。フレームについている車体番号は削られ、車検証もない状態。ただ、エンジン番号でウチにあった車だと確認できました。こうした状態なら盗難車両と疑って、まともな業者は取り扱わないはずです」
一方、斎藤氏に訊くとこう説明する。
「僕はGT-Rをオークションサイトで300万円ほどで購入しました。業者から受け取った時は鍵もあったので、盗難車だとは全く思いませんでした。借金のカタに取られた場合などは、車体番号が削られていることもあり得るのかな、と……。車検証も、業者から“後で用意する”と言われていました」
両者の主張は食い違うが、GT-Rのフレームとエンジンは被害届の提出先である埼玉県警浦和東署が斎藤氏の店から押収し、「現在も証拠保全のために保管している」(同署関係者)という。
A氏はGT-Rにかけていた車両保険など1300万円の支払いを求めて保険会社に訴訟を起こしているが、新型コロナで裁判が延期となり、今も車両の所有者が定まっていない状態だという。斎藤氏が肩を落とす。
「僕だって大金を出して買った車を押収された立場です。完全に“掴まされた”と思っている」
全日本チャンピオンを巻き込んだ騒動の“チェッカーフラッグ”はまだ遠いようだ。
※週刊ポスト2020年7月24日号
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