ロシア人が電子キーの車100台窃取、被害1億円超か 特殊機器でデータ変換(神戸新聞)
電子キーでエンジンを起動させる車を狙い、自動車盗を繰り返したとして、兵庫県警捜査3課と明石署が窃盗などの疑いでロシア国籍の男3人のグループを逮捕していたことが18日、捜査関係者らへの取材で分かった。鍵の電子データを書き換える特殊な電子機器を悪用し、県内の貸倉庫に車を移した上で解体、同国に輸出し転売していたとみられる。県警は男らが兵庫や岡山、埼玉県などでトヨタのプリウスやランドクルーザーなど100台超を盗み、被害は1億円を超えるとみて調べる。
電子キーは鍵穴に差し込まず、鍵と車両側のデータを一致させてドアの解錠やエンジンの起動をする仕組み。特殊機器は「キープログラマー」と呼ばれ、車両側のデータを初期化し、新たな鍵データを作成できるという。電子キー紛失の事態に備えてインターネットでも販売されている。
3人は起訴され、公判中。捜査関係者や公判によると、3人は2017年秋ごろにロシアで知り合い、来日した今年1〜3月、県内で電子キーの車を物色して盗む行為を繰り返していたという。うち主犯格の1人は以前にも来日しており、別の男らと同様の自動車盗を繰り返していたとみられる。
3人は車の窓を壊して車内に侵入し、運転席から車の制御コンピューターにキープログラマーを接続。所有者が持つ電子キーに対応する電子データを書き換えた後、同じデータを新品の電子キーに入力するなどし、エンジンを起動させたとされる。
その後、姫路市豊富町の「ヤード」と呼ばれる貸倉庫まで運転して保管し、解体。エンジンなどを梱包(こんぽう)してロシアにコンテナ輸送し、転売していたという。
被害の多発を受けて警戒を強めていた県警が今春、国内にいた3人を逮捕。起訴状によると、共謀して3月、明石、加古川市などで、車と一緒に車内にあったカーナビやキャッシュカードなどを盗んだとされる。
【手口巧妙化最新型に狙い】
自動車盗の手口は巧妙化している。
損害保険会社でつくる「日本損害保険協会」が発表した自動車盗難事故実態調査によると、2016年11月から1年間に全国で報告された盗難被害は278台。上位3位をトヨタの車が占め、プリウスが62台、ランドクルーザーが32台、ハイエースが28台と続く。いずれも最新型が多く、電子キーが装備されている車両が目立つという。
カー用品関係者によると、数年前まではハンドル付近の接続部分に特殊機器を差し込み、車の防犯装置「イモビライザー」を無力化して盗む手口が多発。だがメーカーの対策が進んだ結果、最近はキープログラマーの悪用が増えてきた。
電子キーの車を巡っては、窃盗グループによる「リレーアタック」と呼ばれる新手も出現。所有者の電子キーが発する微弱な電波を特殊な機器でキャッチし、遠方から電波を増幅させつつ、複数の送受信機でリレー形式に転送させる。車の近くで受信すると、エンジンがかかる仕組みという。(神戸新聞)
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